現役ケアマネから、ケアマネを目指している人へのアドバイスとは?

手を取る

最後に、現役ケアマネから、ケアマネを目指している人へのアドバイスがあるとすればどのようなことか、ここに綴ってみたいと思います。

ケアマネの仕事はやればやるほど、どんどん仕事が出てくるような仕事です。どこかで割り切って仕事をしないと心身ともに疲れてしまい、燃え尽き症候群になる可能性もあります。しかし、その反面とてもやりがいがある仕事でもあります。

手を取る

■ケアマネになって感じた「喪失感」

私はケアマネになる前は看護師として病院勤務をしておりました。病院勤務の間には訪問看護の経験もさせてもらいました。その延長線上に現在のケアマネ業があったわけですが、私がケアマネになってから5年後くらいに、仕事に対する気持ちは変っていないのに、なぜか喪失感を感じるようになりました。

その原因は病院の患者さんと看護師という関係より、利用者さんとケアマネという関係がより近い関係のため、利用者さんが亡くなった時の喪失感が思った以上に心に響いていたのです。元気でおられる利用者さんともいつか必ずお別れすることになるとむなしくなってしまったのです。

病院でもたくさん看取ってきましたし、自分自身がこんな気持ちになるとは思っていませんでした。比較的明るく楽観的な私はストレスなく、どこでもするするとすり抜けながら、楽しく仕事をしてきました。こんな明るい私が少しうつになってしまったわけです。

明るく元気なほど、うつになってしまうと落ち込みがはげしいと言いますが、なかなかモチベーションを上げることができなくなりました。

■利用者さんはお客様である

また、患者さんと看護師という立場と利用者さんとケアマネという立場には少し関係性が違うということも一つの原因だったと思います。

病院はサービス業ではありますが、患者さんは診てもらっているという気持ちがあるので、ある意味弱者になります。なので看護師さんは結構上から目線で話をすることがあります。
それが許されるのです。私自身も病院にいる時には感じませんでした。

病院で勤務している時に患者さんをお客さんという意識を持ちませんでしたが、ケアマネになった時に利用者さんはお客さんなのだと実感をしました。

利用者さんはお客様であって、患者さんより近い存在でもある。

この状況に心がついていかなかったのです。

■感謝されないこともあるという現実に理解を

これからケアマネを目指そうという方。特にやる気がみなぎっている方にこそ、アドバイスしたいことがあります。

仕事を仕事として割り切れることが自分にできるか、まずは考えてみてください。

熱い気持ちがある程、利用者さんの生活に入りこんでしまい、ケアマネの仕事はこれでもかこれでもかと沸いて出てきます。体力的にも負担になりますが、利用者さんのためなら頑張ることができるでしょう。

しかし、感謝をされないこともあるという現実を事前に理解しておいてください。誰もが感謝をされるために仕事をしているわけではないのでしょうが、やはり「ありがとう」の言葉を言われて不快に思う方はいないでしょう。良かったと喜んでもらえるだけで、やってよかったとやりがいを感じ、明日も頑張ろうと思えるものです。

でも、時には感謝されないだけでなく、クレームとして投げつけられることもあります。こちらとしては全力で取り組んでいたとしても、利用者さんが満足しなければ、頑張った工程は評価されないのです。

看護師をしている時にはこのような理不尽に思うことはありませんでした。病院勤務をしているときは、何かするたびに感謝の言葉を聞いていたのです。

■自分自身が後悔をしない仕事をする

では、そのような状況を、私はどう乗り切ったか?

それは、自分自身が後悔をしない仕事をすると決めたのです。

最期を迎えることになったとしても、あの時自分がこうしておけばという後悔をしないように、自分のために仕事をすることにしたのです。

クレームをつけられようが、自分の最善の策をした結果なのですから、自分はやれるだけのことはやったのだと充実感を感じることができました。その結果、15年近く今もケアマネの仕事を続けていられるだと自負しています。

■ケアマネに本当に必要なコミュニケーション力とは?

そして、ケアマネを目指しているけれど、実はコミュニケーションが苦手なんです…という方にアドバイスです。

この仕事は人と話してなんぼという程、いろんな業種の方との交流や利用者さんと家族、関係者との交流があります。それがないと話が進まないと言ってもいいくらいです。

営業職のようにぐいぐいと押して押してという話術は必要ではありませんが、説明することがかなり多く、また介護保険法など小難しいことがたくさんあります。一度説明しても理解してもらえないこともありますし、取り違いをして誤解されていることもあります。

こう書いてしまうと、「私にはケアマネの仕事は無理だ!」と思われるかもしれません。しかし、ケアマネの仕事は話すことも大事ですが、もっと大事なことがあります。

それは「聞き出すこと」です。

利用者さんの思いをうまく聞き出すこと、本音を聞き出すことが大切なのです。自分で話すことが苦手な方はきっと聞き上手だと思います。その長所を有効に使えば、きっと素晴らしいケアマネになれると思います。

■私がケアマネを続けられている理由

私は病院勤務中に訪問看護という部署に異動になり、ケアマネになりました。ですので、実際、ケアマネになりたいと言ってなったわけでありません。必要に迫られただけです。

そんな私からのアドバイスがどこまで参考になるかは不安ですが、私が看護師に戻らず、ケアマネを続けているのは、看護師ではできなかった1対1の関係がとても心地よかったからだと思います。

病棟勤務では話を聞いてあげたくても、ナースコールがあれば、話を途中で止めて業務をしなければなりません。日々業務に追われて、患者さんの心に寄りそうことはできませんでした。知識や技術の頭でっかちで、何の役にも立たなかったのではないかと思うこともありました。

ケアマネでも知識は必要ですが、人としての関わりが何より大切です。人は人に傷つけられることもありますが、人は人からしか幸せを感じることはできないと、ケアマネの仕事を始めて強く感じています。

ケアマネを目指している皆さん、ぜひ頑張ってください。